2022年5月16日

とっとり鳥瞰図 国府の京ケ原棚田

 標高約500メートルの急峻(きゅうしゅん)な地に開かれた、鳥取市国府町上地(わじ)の京ケ原棚田。別名「天空の棚田」とも呼ばれている。田植えの時期を迎えると、約140年前に開削された用水路を通じて扇ノ山から引き込まれた雪解け水が、階段状の水面を生み出す。

 冷たい水を張られた棚田は無数の鏡面のようだ。鳥の目は、春かすみの空と杉林を反射させる様子を映し出す姿を捉えた。あぜ道は等高線のように直線と曲線が交じり合う。狭量な山あいで、少しでも広い農地を得ようとした先人たちの強い意志を感じさせる。

 田に水が張られるのを待ち望んでいたカエルが至る所で鳴き、空にはそれを狙うトンビ。田植え作業の脇で走り回って遊ぶ子どもたち-。開墾の当時を知らない世代にも、日本の原風景を感覚的に教えてくれるこの棚田は、今年2月、農林水産省によって「棚田遺産」に認定された。(随時掲載)

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