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2012/02/19の紙面より
−川上 義博−
江戸末期、幕臣の山岡鉄舟は「現今の国情は倒幕だの(・・)、佐幕だの(・・)と言っている時機ではない」と言っていたそうだ。鉄舟は「諸外国は爪牙(そうが)を磨いて日本の虚をうかがっている」と世界情勢に目を向け、徳川幕府の末路を案じながらも江戸無血開城の立役者となった。 今の日本の国情はどうか。沈みゆく船にたとえられるが、そんな中で民主党と自民党は殴り合いのケンカの真っ最中だ。 次の総選挙で、どちらが政権をとっても国会でまた不毛な議論が繰り返される。世界一権限が強い上院とさえ言われる日本の参議院が、拒否権を発動すれば何も決まらないからだ。 不毛な議論が国会で続くようなら、民主、自民の双方と ただ、私は、橋下大阪市長や石原都知事、大村愛知県知事が唱える統治機構改革の動きには、国家権力と地方的権力(価値)の弱体化という「都市の論理」を感じて警戒感がある。地方の疲弊がさらに加速される可能性が高いからだ。 17日、橋下市長と会談した。橋下氏は首相公選制や道州制の導入に意欲をみせ「地方は国に頼らないで、自立するための努力をしなければならない」と強調していた。 日本の法人税の分布は、東京、大阪、愛知で約65%を占めている。現在は、国が予算を再分配しているが、道州制などが導入され、財源・権限の移譲を受けた場合はどうなるか。各道州は身の丈にあった分しか投資に回せなくなり、道州間格差がより鮮明になることが予想される。道州によっては、超緊縮財政や、地方税増税なども強いられる。 中国州(関西州)で考えてみると、州都が広島(大阪)になれば、州都では土地・建物などの資産価値が上昇する一方で、鳥取など州都以外の地域では企業の支店や営業所がなくなり、不動産の資産価値が下がることになる。故郷が失われる廃町村だってあるかもしれない。同じ州内でも格差が生まれる懸念もある。 首相公選制が導入されれば、首相候補はみな票田である大都市寄りの主張ばかりを唱えるのではないか。地方がさらに取り残されるのではと不安がよぎる。 ではどうすべきか。イスラエルとパレスチナのような両党の関係だが、民主だの(・・)自民だの(・・)と言っている場合じゃない。衆院議員の残り任期である約1年半、徹底的に話し合い、政治の立て直しを進めなければ、既成政党は支持を失いかねない。そうすると不幸になるのは「都市の論理」に支配される地方の側だ。民主、自民という政党名が政治の世界から消えてなくなる日がこないとは限らない。
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